【30万に1人の難病・魚鱗癬】苦しみから希望(退院)へ! それは少しずつでも確かに伝わる母の我が子への愛情
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(26)
■無理矢理な上書き
初めて、陽に薬を飲ませる。
看護師さんの真似をして、少しずつ、少しずつ、あふれないよう、シリンジで慎重に、薬を口に含ませていく。
ずっと傍で見守っていて下さった看護師さんが
「陽ちゃん、上手に飲んでるね〜!!」
「えらいえらい! 陽ちゃんえら〜い!」
「お母さんも、上手だねぇ!!」と、陽だけでなく私まで、誉めてくれた。
単純な私は、あれ? 意外と簡単かも?
なんて思っていたのも束の間、脳裏に前日の看護師さんの言葉が浮かんだ。
「もうちょっと大きくなって、味が分かるようになってきたら、あげるの大変になるかもやなぁ〜」
・・・。
確かに今の陽は、あまり嫌がらない。
嫌がるようになってきたら、どうしたらいいのだろうか。
飲ませられるかな・・・、調合もしなくちゃいけない。
私にできるのかな・・・、
そう考えていると、少し今後が不安になった。
あーーーー、まただ!
不安になることを考えだしたら、キリがないことくらい、
もう、とうに分かっているはずなのに・・・。
これではいけない、考え方を変えよう。
その頃には私の薬を飲ませる、テクニックもあがってるかもしれない!
調合だって、「ちょちょいのちょい」ってできるかも!
これでまた、私が陽にしてもいいことが増えたんだ!
なんて想いを無理矢理、不安な気持ちの上に上書きして、胸に押し込んでおくことにした。
そして無事に薬の時間が終わり、一息ついていたとき、
担当の先生が現れて、思ってもみなかった話を聞くこととなった。
【退院】に向けての話を・・・。
【参考資料】
本書をもとにCBCテレビ『チャント』にて「ピエロと呼ばれた息子」 追跡X~道化師様魚鱗癬との闘い(6月26日17時25分より)が放送されました。
https://locipo.jp/creative/41a0b114-7ee7-4f24-976c-e84f30d2b379?list=5a767e90-3ff9-479c-a641-e72e77cf42c3
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【参考文献】
『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』(アメーバブログ)
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子(書籍)
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。